ありえないことなんですが、ありえそう、と思わせる。それが京都という場所でしょうか。突飛、かつ現実味のない設定ですが、なぜかすっとその状況を飲み込むことができます。 時はすすむのが当たり前だと思ったり、とまってほしいと思ったりもするかもしれま…
どちらを否定するのでもない、そのどちらにも正しさがある、と思えることが救い。 日常の仕事にやりがいを求めるか、日常以外の趣味の時間に生きているという充実感を味わうか。どちらかからすれば、それはくだらないことだったり、信じられないことだったり…
感想を言葉にすることは、たぶん難しい。それは、言葉で描くということはどこまで行ってもそのものではないからなのだろう。そして、それが読み手からさまざまな感情と感想を引き出すのだろうと思います。 だから、この小説の消化はすこし難しいものがありま…
詩のような、無駄な言葉のない、それでいてすっと心の中に入ってくるエッセイ。 佐野洋子はすごい なにを読んでも、何かの余韻が残る、そんな文章たち。なにか言語化されたものをはっきりと伝えるのが言語の力なのではない。言語にならないその時の空気と感…
読みました。 少し雰囲気はSF感があり、どこまで引き込まれるのかと期待を抱かせる前半。少しだけテーマを投げかけておわった後半。読者に委ねられているとは言え、もう少し欲しいと思ってしまいました。 自動起床装置 (文春文庫) 作者:辺見 庸 文藝春秋 Ama…
みてきました。 安部公房の作品が映像化されたものを初めてみました。過去には演劇や映画などになっていたようです。 箱男は完全な匿名性。閉じた中にこそ全てがある、という逆説的な思考実験。それを望んでいるのは、映画をみているあなただ。というメッセ…
生きることに真正面から向き合っているからこそ出てくるのだろうと思える実感の言葉に出会うことができます。 人間は弱い、それは愚かであるということでもある。 そして、その弱さこそが、愚かさこそが自分を生かしていることがある。 自分を自分たらしめて…
読みました。 等身大で哲学することを実践している永井さん。 面白いと思いましたが、少し無理をしているのかな、とも。 世界の適切な保存 作者:永井玲衣 講談社 Amazon
谷川俊太郎の詩に「その世」という詩があります。 この世とあの世のあわいに/その世はある/騒々しいこの世と違って/その世は静かだが/あの世の沈黙に/与していない お盆というのは不思議な期間だなぁと思います。いろんないなくなった人のことがこの上…
和をもって尊しとなす。有名な言葉だと思います。聖徳太子という、いたのかいなかったのかわからない人の言葉です。 なぜ、この国では、正しさよりも「和」することを重視してきたのか。古来から、日本は行き止まりのような場所なのだそうです。その先は海だ…
わかるとはどういうことでしょうか。わかるは分かるとも表現されるように、分けることから様々な発見をしてきました。この分解するという技術は複雑でとりとめもないこの世界を切り取り、分析し、意味付けするための重要な手法でした。 しかし、限りなく分け…
そうじゃなくて、何にもない田舎に行くんです。僕は人口がまだ八〇〇万人だったころのオーストラリアに留学していたけど、オーストラリアの人たちはものすごく人が良かった。だって人が滅多にいないんだから、人に会ったらうれしいんですよ。伊集院:人がい…
読みました。 有吉佐和子の若い頃の作品だそうです。 連載で執筆後、書き直しはされなかった作品だそうです。そのせいか、小説全体にエネルギーが満ち溢れている気がします。若々しさだけでなく、そこに見え隠れする内面への深い洞察は流石と感じます。女性…
戸籍なく、死んだ妹の戸籍を使って生きる市子。 最後まで市子の心の中はわからなかった。 市子として生きたかった、という言葉は本当だったのでしょうか すくなくともいつかまでは本当だったのでしょうか。 すごいのは、普通に見ればサイコパスとしか言えな…
見ました。 毎日ルーティン的に決まった時間に決まった生活を送る平山。毎日が同じように見えても、毎日が異なる。違うことが起きる。そんな生活を送る無口な平山の口から聞かれる幾つかの言葉と平山の周囲の人間模様、全てが立体的に一人の人間を描き出して…
親鸞の有名な言葉に、 「善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」というものがあります。これを「悪人正機」といいますが、普通なら、 「悪人なほもて往生をとぐ、いはんや善人をや」 というところです。ところが親鸞は逆に、善人が往生をとげるのだから…
「世間」と「社会」 学校のクラスメイトや塾で出会う友達、地域のサークルの人や親しい近所の人達が、あなたにとって「世間」です。 「世間」の反対語は、「社会」です。 「社会」というのは、あなたと、現在または将来、なんの関係もない人達のことです。 …
見てきました。 大好きエマ・ストーン。ラ・ラ・ランド以上にすごい女優さんだと思わされました。 エマ・ストーンしかできる人が見当たらないのではないか、と思うほど適役で、2時間半と割と長い映画であるにもかかわらず、引き込まれました。 映画の序盤は…
平田オリザさんは演劇という切り口ですがコミュニケーションの真髄だと思います。基本的に書かれていることは納得できますが、社会はもう一段ねじれているのでは?と感じるところもあります。 その通りだが、それが我慢に繋がるという負の側面もあるのではな…
みました。 変わったようで変わっていなく、変わっていないようで変わっている。 ある角度から見たら一周回って戻ったように感じるかもしれないけれど、違う角度から見たら全然違うところにいる。人間関係というのはまるで螺旋階段のよう。 往年のくるりのサ…
読みました。 「本を読む本」を日本人向けに分かりやすくし、 また、 東郷さんのオリジナルな読み方と他の人の読書論への言及、 さらに 論文作成時などのため文献の整理の仕方など 読書をしっぱなしにせずあとに生かす方法が満載された本です。 カード方式と…
読みました。ハマトンが誰かは知りませんが、何度も訳されている本で人気のある本のようです。 どのような年代の人が読んでも面白いと思える部分はあるように感じます。 考察への執着と無益 自分の考察には別にもっと適当な対象があると自ら判断していながら…
見ました。 みんな見て楽しい いろんな解釈ができる作品だと思います。同時にシンプルに面白い宮崎駿のジブリ映画と見てほしい、という作り手の熱意をかんじました。宮崎さんは、ファンタジーを見る主たるお客さんに子どもを想定していると思います。 だけど…
ノーベル賞学者湯川秀樹が天才について語る本です。 一般的に天才といわれる人が天才を語るというところから少し変わってると思って買いましたがかなり面白かったです。 語るのに選ばれた天才は 弘法大師石川啄木ゴーゴリニュートン の4人。 読んでいくとみ…
読みました。短編集なのですがどの話もどこか心に引っかかる様な、なんともいえない感じを残してくれる話でした。 どの登場人物も いまのままじゃいけないと分かっていて、でもそれを打破するためにどうしたらいいのか分からないでもがいています。 疲れてい…
読みました。 入門書との位置付けですが、むしろ難しいかもしれません。 短く、簡単にしようとすると誤解を招きやすい概念、それが利他だからです。 とは言え、利他のパイオニア、若松英輔さんの言葉は、なんともいえない落ち着きと静けさと優しさがあって非…
簡単なようで意外とできない読むということ。 自分で分かったと思いこんだ時が勘違いの始まりとも言え、分かってないと思った時が「読む」の始まりともいえる、そういったものではないでしょうか。 分かったと思っても、いやまだわかっていないことがある、…
忙しい現代人における、集中力ならぬ、散漫力の活用。 現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全―脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す! 作者:佐々木 俊尚 東洋経済新報社 Amzon ランキング参加中読書 MafRakutenWidgetP…
第四間氷期 (新潮文庫) 作者:公房, 安部 新潮社 Amazon よみました(二回目)。二回目にもかかわらずほとんど話を忘れていて新鮮に読めました。話の内容は主人公が作った予言機械が第四間氷期の到来を予言しその未来に向けてある組織が動き出す…。あとがきで作…
読みました。 内容は、自分で稼ぐためにどうするか、という本です。 自分で稼げる自分業を見つけるためのアプローチが紹介されていて、これまでの経験の棚卸しに役立ちます。 どこに雇ってもらうか、という観点ではなく、どうすれば自分に価値がつくか、を考…