読みました。
タタール人というものがおり、それが攻めてくる。それを目撃する第一人者でいたい、という主人公。ついに、それを見ることはなく、異動させられ、死んでしまいます。それだけを生き甲斐にして生きた人生。
この本を読んで、この本全体が一種の人生そのもの、という感覚を持ちました。自分の目標や夢といったものを実現し、それが礼賛される中で、多くの人にとって、夢は夢のままで叶わない、というものであるように思います。そのような、絶望と隣り合わせの人生をどのように送るべきなのか、そのときわれわれはどうなってしまうのか。シミュレーションさせられているような感覚になります。
自分の行う行為の無意味さに、自分の願いの報われなさが人生に真実の一部であるとするなら、僕たちはそれをどのように受け入れ、乗り越え、あるいは対処するのでしょうか。