pleetm's blog

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宇宙と人間 七つのなぞ

読みました。

湯川秀樹は話が面白いです。今どき、面白い学者さんや研究者さんはたくさんいらっしゃるとおもいますが、当時の学者にしてはとても珍しい気がします。

理論物理といった、ある種人間の感覚を超えた分野ですから、多くの人はそんな分野の学者なんて、機械みたいな人間を想像してしまうかもしれません。しかし、全く違います。むしろ、だれもよりも人間らしい、生々しい感覚をお持ちの人なのだなと思いました。

理由は分かりませんが、いろんな分野の最先端にいこうとすれば、人間としての感覚がどんどん研ぎ澄まされていくのかもしれません。ですから、人の感情というものであったり、そういったことにも気づきが鋭敏になる。おそらく、一流の研究者というのは、頭がいいというのもあると思いますが、「観察する」「知覚」するという能力が人並外れているのかもしれません。

まず、対象を正しく見据えること。それがとても大事なんだと思いました。多くの人が日常に感じていて、通り過ぎてしまうことでさえ、しっかりとトラップされる。一般の人には言語化されて初めて、「あぁ、それに自分は困っていたんだ」とかいう気づきがある。そういう、見えているはずだけど見えていない世界、見えてないけれどあるはずの世界、そういったものがありありと感じることができているのかもしれません。

また、そういったものが見えたとしても、目を背けてしまっていたりしたらうまく処理できません。見えたものを「どう捉えるか」も大事になってきます。それには、大まかに簡単な法則をつかむこと。経験が正しいとは限らず、経験に忠実であるということは説明ができない。それよりも、少し漏れはあるが、どうやらこちらの方が観測事実の全体を良く説明できそうだ、というものを見つけること。これを地動説と天動説の話をだして説明しています。実際、多くの人は宇宙に行ったことはないわけで、経験だけを正とするなら、現代でも天動説が経験にはマッチしています。でも我々は、それは違うとわかっている。それは地動説の方が多くのことを上手く説明できるからです。また、その理論に基づいて、いろんな発見がなされ、それが結果的に理論の正しさを証明している、という順番です。

ですから、経験と違うから間違っている。ということが間違いで、経験自体が間違いを大いに含んでいる、ということ。観測事実から考えられる理論を適用し、さらに考えを進めていくこと。それが、物事に対する向き合い方かな、と考えさせられました。

 

宇宙と人間 七つのなぞ (河出文庫)

宇宙と人間 七つのなぞ (河出文庫)

  • 作者:湯川 秀樹
  • 発売日: 2014/03/06
  • メディア: 文庫
 

 

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