pleetm's blog

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生きる Living

観ました。

黒澤明の名作、「生きる」をカズオイシグロがリメイク。

と言っても。そのオリジナルを見たことがないので、比較はできません。

 

あらすじは、余命半年を宣告された主人公が、これまでの繰り返しの役所生活から、何かを成そうと心が変化していく。その変化と死から、同僚の変化や家族の受け止めが描かれる、というもの。

 

この映画では主人公の若い頃は描かれていないのですが、おそらく、その投影となるものが、新入職員のピーターとも取ることができます。つまり、主人公のウィリアムズは、余命宣告をきっかけに人生に変化を起こそうとしたのではなく、もちろんそれはきっかけの大部分としてはあるでしょうが、野心の萌芽とも言えるものが若い頃は持っていたのではないか、ということです。それが、働くにつれて、失望や、何もしないほうが得、という感覚に飲み込まれ、本来抱いていた思いみたいなものがみえなくなっていた、そして、それを「死」というものがあらためて照らし出した、と考えることができるのではないでしょうか。

それが描かれているのが、ウィリアムズの死後、仕事を進めることを決意したウィリアムズの後任課長が結局仕事を停滞させることになる点、それをみたピーターが何か変えようと仕事に取り組むように発言するシーンに現れていると思います。

そして、やはり死が近づかないと、自分のやり残しに発奮されないのか、あるいはそうでなくとも「生」を実感した生活を送るのか、その点は各個人に委ねるような結末となっています。

 


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