読みました。
佐野洋子さんの名前を聞いたことがないひとがいるかもしれません。けれど、彼女の作品の一つである「百万回生きた猫」を読んだことのない人はあまりいないのではないでしょうか。それくらい実は有名な作家である佐野洋子さん。
彼女は童話の作家でもあるのですが、エッセイがとても面白いです。そして、読むたびにこの人と一緒にやっていくことはできないけど、友達にはなってみたいな、と思わせるような面白く、魅力的な人です。
その魅力は、嘘をつかないというところ。自分の感性にとことん正直です。
その真っ直ぐな感性は、作品を読むたびに何かハッとさせられるものがあります。自分にはない目線だったりして、それを彼女なりにしっかりと説明してくれる。その感性は自分と違うからこそ面白い。
そして、その視線が童話になる時、それは深い洞察にもなります。読む人に答えを与えるものではない。現実をしっかりと見つめることで、読む人に自由な感じ方を与える名作になるのだと思います。
童話だから大人が子供に教えてやろうなどという傲慢な考えではない。ただ、佐野洋子という一個人の目線が人に刺激を与えるのだとおもいます。
捕虫網と虫かごを持っての探検をする子どもには、何が見えているのでしょうか。何かめざすもの、さがすものがあるわけではないとおもいます。むしろ目に見えるもの、それ自体が全部でゴール。そこには良いこと、悪いことではなく、ただ好奇心に突き動かされて現実を捕まえようとする姿勢が見られるような気がします。佐野洋子さんの本を読むと、そんな気持ちを思い出す事ができる気がするのです。