よみました。
城山さんは戦中派(10代の多感な頃に終戦を迎えた世代)です。これまでの常識がひっくり返る、という非常に稀有な体験をされている世代と考えることもできて、この世代の方の特徴として、「自分で考え抜く」ということがあると思います。それは、それまで正しいといわれていたものが完全に否定され、いままで間違いだといわれていたことこそがこれからはスタンダードだといわれるアイデンティティの大転換を経験していることに起因していると思います。
だからこそ、その思考は何かをよりどころにしているのではなく、徹底的なまでに論理的だし、真実に近づこうとする姿勢がひしひしと伝わります。
この本では、魅力ある人間の育て方、ということがかかれていました。
考え方の大原則は、自分は自分の道を行く。後ろに道はできる。ということ。
また、組織というものを信じない、強い人間の力が組織をよりよい方向に動かす。組織を乗り越える。
そして、ある子育てを例に出し、それは教育ではなく「飼育」だと断言します。その女性は子供のために大事といわれることを全部やり、一生懸命に、無私の精神で、子供のために自分を殺して育るのですが、子供は全く思うように育たないという結末です。これはすべて間違いだったと城山さんは言います。これは飼育だといいます。飼育とは自分の設計した世界に子供を引き込んだだけ。子供そのものを見ていない。と言っています。
友達も、教師も選んできた。良いといわれるものを選んできた。しかし、このように育てられたいわゆるエリートは、社会(付き合う人を選べない)という状況から人生の栄養を得るという経験をしてこなかった。その能力は大きくなってからは身につかない。そして、失敗すると挫折感が大きく生きていけなくなってしまう。
このようなことはおおかれ少なかれあるとは思いますが、「考える」ということを忘れてはいけないとおもいました。