読みました。
①空気の研究
②水の研究
③日本的根本主義
という3部構成になっています。ただ、その根底に流れているのは、「空気」です。
「空気」は最近でもよく、空気読めよ〜と言われる、あの「空気」。山本さんは公害、戦争といったものを事例に挙げ、空気について考察しています。あらゆるものを決定していたのはあの「空気」だというの日本の特殊性。このことは現代日本においても全く何も変わっていないのではないでしょうか。意見は言わない空気、右に倣えの空気、自分の考えよりも空気に支配される人々。
日本人を拘束している「空気」を把握すること。それが「空気」からの脱却=進歩につながる。
そのためにはどうすればいいのか。一人一人がそれに自覚していくしかないのでしょうが、 それは遅々として一歩一歩進むしかない、ということでした。
ただ、その「空気」の構造は入れ子状になっているのではないか。「空気」を把握したとしても、その考えはもしかして別の「空気」に支配されてしまっているように感じてしまいました。
そして、こうも述べられています。
「空気」の醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握。
臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。
これは日本人が非常に強い傾向をもつ態度ではないでしょうか。