読みました。
厚さ2cmほどもあり、読めるのか?
との心配は何処へやら。引き込まれるように読めてしまいました。
森博嗣さんの小説は、登場人物に関する記述が多くなく、イメージの多くは読者に委ねられています。そのため、登場人物が頭で思い浮かべられるまで時間が掛かります。そこで、ちょうどドラマもやっていることもあって、ドラマで前半の導入部分を鑑賞、登場人物のイメージを頭に焼き付けてから、小説を読むということを試しています。そうすると、序盤のつまづきが少なく、面白いところに最短距離でたどり着けます。萌絵ちゃんは完全に武井咲です笑
楽しみ方はさておき、感想。
今回のテーマは「理解、それはレッテルを張ること、単純化することだ」といったところでしょうか。この観点からストーリーは展開し、解決の糸口も見えてくるのでは、と感じました。
だから理解できないものを気持ち悪い、普通じゃないと感じるんですね。でもその普通と異常の違いは何か?これについて、答えはないのかもしれませんが、言葉で表現し得ないもの、したとしても腑に落ちないライン、そこから先が異常ということになる。そしてそのラインはひとそれぞれで異なっている。だから、一般的に見れば犯罪であっても本人はそう感じていないということもある。
このことは犯罪だけではなくて社会での出来事に適用可能なことだと感じました。
また、ときに出てくる比喩表現。これも面白いというか、このように世の中を見れるようになれば楽しいかもとおもった箇所。例えば、
「引出の奥に仕舞い込んだ昔の年賀状みたいに、捨てた覚えはないのに二度と見つからない代物」
という表現。森さんの実生活で執筆中、実際にこんなことがあったのかも?と想像されます。また、昔の年賀状→捨てた覚えはないのに二度と見つからないものを関連付けるセンス。こういうセンスが本当に羨ましいですし、日常生活を面白く、またアンテナを張って生きている証拠なのだと思います。