pleetm's blog

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京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ (朝日文庫)

読みました。

おもしろいです。京都の雰囲気なんかが身近な人にとってはより面白いのではないでしょうか。

総長なのは知っていましたし、ゴリラの人だな〜とは思っていましたが、どんな風に過ごされてきたのかは知らなかったので新鮮でした。

本書ではゴリラの話も書かれていますが、それ以上に、フィールドワークでのアフリカ人たちとのやりとりとそれを通じた学びがとても面白かったです。

アフリカでのフィールドワークをつうじた様々な対人手法、例えば、説得の仕方、協力を得る極意、また、それだけでなく、何が人を形作るかなどについて書かれていました。

説得の手法として、アフリカではどれだけ自分の中に「具体例」を持っているか、そのストーリーが相手を説得する秘訣になるという話がありました。

これは、日本など他の国でも同じかもしれないと思いました。よく、一般化・抽象化して論理性を取り出して話を進めがちですが、そこに具体例があるとやはり説得力がますし、聞く側の理解もしやすくなるのかな、と思いました。

また、人の協力を得る極意としては、「お前と一緒にやったら楽しそう」と思わせることだそうです。とても難しいことにも思えますが、実際には相手を大事にして、自分も楽しみ、その姿をみせること、ということかと理解しました。

そして、「自分であること」、とは「他人から見た自分であること」「他人の目が自分を作る」のだそうです。つまり、自分が思っている自分は所詮自分ではないということ。だから、何かを言ったり、したりしたときに、そういうつもりはなかった、とかそう意味じゃないということは関係なく、相手がどう思ったか、が自分だということなのだと思います。厳しいことを言われた時にはそれを認めるのは難しいかもしれないけれど、これを理解して前に進んでいかないといけない部分もあるのだと思います。

 

その他、「考えを一度否定されたくらいで諦めない」相手の背景や状況を考えた上で方法を探っていけば自分のやりたいことはどんな形であっても達成される。そう思って方法を探らなければ、道は閉ざされる。

という言葉も心に残りました。

 

意外なものとしては、環境と自分の関係について。よく言われるのは環境に適応する。自分を変える。ということ。山極総長は全く逆でした。環境に合わせて自分を変えるのではなく、環境を自分に合わせて変えていく。自分が希望したところでなくとも、環境は自分で変えることができる。ただし、自分のやりたいことをやりつづけるためのしたたかな戦略もだいじと書かれていました。

最後に、グローバル人材とは、多様なものを認めつつ、自分「に」あわせつつ、なおかつ自分を失わずにいる。いろんな人と同調しながらも自分の身に纏っている教養をきちんと表現できる。そして、意思決定ができる。自分の考えをそのなかでまとめ上げ、自己主張ができる人間と定義しています。

なるにはとても難しいですが、とても明快な定義だと思いました。

 

京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ (朝日文庫)

京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ (朝日文庫)

  • 作者:山極 寿一
  • 発売日: 2020/05/07
  • メディア: 文庫