読みました。
なにこれ。すごくおもしろい。恥ずかしながら米原万里さんを知りませんでした。こんなに魅力的な人がいたなんて。
とにかく、読んでいて、すごく気持ちがいいです。こういう文章を書けるのは本当に言葉と向き合った人なんだと感じました。その源泉がどこにあるのか、もっと米原さんの本を読んでみたいと思います。
また、示唆に富んだ文章もすごくあり、読んでいてなるほどと思わされます。
例えば、「自由」について。
不自由な方が自由になれるのである。
自由なはずが、結局、区別のつかない服を着て、同じ言葉遣いで、同じような番組を見て、似たようなものを食べている若者たちを見ていると、とくにそう思う。
この状況って、まったく今の日本ではないでしょうか。そして、それを「自由」だと勘違いしていると、みんな同じであることが当たり前、いや、同じであらねばならないと感じてしまう。正しい考えは一つ、答えは一つ、そうでないものは排除する。潔癖症になる。
それが社会全体に広がると、みんな仲良しなようでいて、実は警戒し合っているような、過度に人の視線を伺って生きるような、そんな窮屈な社会になっていかないでしょうか?
でも、もしかして、その「自由」をちゃんと「不自由」なんだと認識できている人は、その目に見えない「不自由」さのなかで「自由」になれるのかもしれないとも思いました。それが、日本という国で工夫して生きるということなのかもしれません。