読みました。
おいしいコーヒーの入れかたを紹介している本は数あれど、ここまでコーヒーをちゃんと科学できている本は少ないのではないでしょうか。
「技術」や「コツ」というのは、素晴らしい部分もあるのですが、やはり経験則であって、本によって書いてあることも変わるし、仕組みを理解できていないので、型を習うしかできないというところがあると思います。
この本はコーヒーを「科学」しているので、この本を読めば、その他の様々な「コツ」についても、なぜそうしたのか?をよりよく理解できますし、自分の好みを見つける近道になると思います。
また、科学がきらいであって、コーヒーが好きであれば、コーヒーを通じて科学の楽しさを感じることができるようになっている点も素晴らしいです。
では、いくつかコーヒーについてもっていた疑問について、少し紹介していきましょう。
抽出方式
コーヒーには様々な抽出方式があります。ドリップ、プレス、サイフォンなどいろいろあると思います。これらの違いをわかり、かつ自分の好きな抽出方式までわかっている人はどれほどいるものでしょうか。
本書では抽出の原理を「透過抽出」と「浸漬抽出」という原理で説明しており、それぞれの特徴を説明しています。
特に、一般的に使用されるドリップは抽出原理から言えば「透過抽出」です。ドリップする場合、コーヒーの味を左右するものは何か。大きな要因として、流速が挙げられます。コーヒーの成分には水に溶けやすいもの、溶けにくいものがあり、流速によりその抽出具合が変わります。これがコーヒーのコクや旨味に影響を与えています。つまり、流速を変えることでコーヒーの味が変わる理由は、成分の抽出具合にあったわけです。
また、これで、最初コーヒーに少しお湯をかけて蒸らす理由もわかりますね。一旦ゆっくりすることで、おいしい成分を抽出しているわけですね。
もう一つ大事なのは抽出時間です。コーヒーはおいしい成分が前半に、苦味などの成分があとから出てくることが多いようです。だから、ずっと抽出していると雑味がどんどん増えていくということのようです。だから、お店でのドリップはだいたい3分くらいと決まってるんですね。
泡の正体
ドリップしてると、最初お湯を垂らした時にぷくぷくっと泡が出てきます。これは何か。まめに含まれている炭酸ガスとのこと。ただ、気泡になるということはそのガスをシャボン玉のように覆っているものがあるはず。これは界面活性剤(洗剤みたいなもの)であるとのこと。
ドリップ中に泡を落とさないようにするということを聞いたことのある人がいるかもしれませんが、実は苦味などの成分は油滴や微粉であり、これはドリップ中に発生している泡に吸着しているようなのです。だから、ドリップ中の泡は落としちゃダメなんですね。
他にもいろいろ書いています。日々のコーヒーの条件を記録するだけでも面白いかもしれません。
コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)
- 作者: 旦部幸博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 新書
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