pleetm's blog

日々考えた事や読んだ本について書くブログです。自分の書いたことって相手にどう伝わるのか、興味があるので、お時間ある方はコメントしていただけると嬉しいです。このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。

聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書) 東畑開人

読みました。 今まで読んだことのある、数ある聞く技術みたいな本の中でもっとも実践的で理論的なものだと感じました。その理由の一つとして、単なる経験から得られたコツだけでなく、それがどうして、そしてどのように臨床的な理論的側面があるか、というこ…

草原の椅子

読みました。 骨太な小説だなぁと感じました。 草原の椅子(上) (幻冬舎文庫) 作者:宮本輝 幻冬舎 Amazon 草原の椅子(下) (幻冬舎文庫) 作者:宮本輝 幻冬舎 Amazon

アラスカ物語(新潮文庫) 新田次郎

読みました。 最近なんとなく読書から遠ざかっていたのですが、読み終えることができました。本を読むという行為は、簡単なようでいて、案外難しいものなのかもしれません。時間があっても、すぐにテレビをみたりケータイを触ってしまったりしてしまいますし…

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) 川上未映子

読みました。 といってもだいぶ前に読み終わっていたのですが、どう言う感想をもてばよいのかよくわからず、書くのは棚上げにしていました。そして、最近再度読んでみたところで、少し気になった部分だけでも書いておこうと思い立ちました。 なんともひとこ…

考える教室 大人のための哲学入門 若松英輔

考えるとは何か。改めて「考えて」みるとそれは具体的な言葉になかなかできない、という方も多いかもしれません。また、自分では考えているとおもっていても、実は過去の経験や知識を基に反応している、あるいは選択しているだけ、という場合も多いのではな…

僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回 (森田 真生)

読みました。 森田さんは独立数学者です。 森田さんの紡ぐ言葉はどこか詩的というか、客観的に描写しているにも関わらず輪郭が優しく、それでいてなかなか言語化がこれまでされてこなかった感覚的な部分を丁寧にかつフレッシュな形で切り取るような感じがし…

絵を描きたいあなたへ 道具の選び方からスケッチ旅行のノウハウまで 永沢まこと

おもしろかったです。 永沢さんは風景を中心にさまざまな作品を発表されていましたが、先日亡くなられたそうです。 画家になるまでの悩みといった人生の選び方がとても印象に残りました。他の本も読んでみたくなります。 なかなか真似のできることではないと…

現代思想入門 (講談社現代新書) 千葉雅也

読みました。 とても面白かったです。もちろん表題のとおり現代思想の入門書として読むことができますが、概念を抽象的に構造化して整理して書いてくださっているので、考え方の本として読むこともできると思います。つまり、どこで思考が止まってしまってい…

開幕ベルは華やかに

読みました。 ある大女優を殺す事件を描きつつ、演劇界の現実も緻密に描写した小説です。殺人事件をめぐるミステリーですが、演劇界の舞台裏や関係者の心情といった観点からも非常に面白く、その分野に関わりのある人はより頷きながら読めるのではないでしょ…

仮縫 有吉 佐和子

読みました。 仮縫いとは洋服を仕立てあげる前に、シルエットやデザイン、体型にあっているかなどを確認するための作業のこと。 かんたんなあらすじ この本の主人公はあるデザイナー松平ユキに腕を見込まれて、仮縫いをすることになった隆子を主人公とした物…

小説の読み方、書き方、訳し方 (河出文庫) 作者:柴田元幸,高橋源一郎 河出書房新社

読みました。 柴田元幸さんは翻訳家、高橋源一郎さんは小説家。 それぞれの考え、立場から、小説を読むとは、書くとは、訳すとは、のそれぞれについて、また、相互の関係についての対談です。 もし、小説を読みたいがどの小説から読めばいいのかわからない、…

陰翳礼讃

谷崎潤一郎の作品です。目に見えないもの、感触や湿度といったものを表現させて谷崎の右にでるものはいないのではないか、というほどのなんとも言えない質量をまとっていることが感じられると思います。 このねっとりとした、生々しさへの感性がこの本には凝…

色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年

自己の回復をテーマにした物語です。 そして、そのメッセージは、その傷の意味するところを、その理由を自身の手で明らかにすることによってしかなされ得ない。 ということのように思います。 しかし、そうであるならば、つくるが5人の完全無欠な集団から外…

常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫) 作者:原田マハ 新潮社 Amazon

常設展示室、それは企画展とは異なり、その美術館が常に所蔵の展示をしている場所です。そのため、企画展のような混雑や喧騒から離れた、独特なその美術館のアイデンティティとも言える場所かもしれません。 そこでは、静かに見守るように自身を観に来る者を…

青い壺 (文春文庫) 作者:有吉 佐和子 文藝春秋 Amazon

読みました。 ある職人が偶然作ることができた青い壺。その色はまるで800年前に作られ、唐から渡ってきたような色が出ているという。その壺は、売られ、買われ、盗まれ、そしてまた、売られていく。その場所場所で持ち主やその周辺の人々との関わりがある。…

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法 作者:ロルフ・ドベリ サンマーク出版 Amazon

読みました。 なんとなくそうなのだろうなぁということがたくさん書いてありましたが、もう少し具体的に掘り下げて書いてほしいなぁというのが正直な感想でした。ただ、頭に置いておくことで、羅針盤となるようなものでもあると思うので、あえて抽象的なのか…

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) スコット フィッツジェラルド

読みました。 初読の感想は、何が名作たる所以なのか正直わからないというなんともこころもとないもので、なかなか感想を言葉にすることができずにいました。ただ、読後もしばらく、何かを自分に向かって静かに主張し続けていて、それは、自分はちゃんと読め…

69 村上龍

自身が高校生の頃を描いたのだそう。 文章にできるまでに20年かかったそうで、37歳の時に書かれていました。 こういった小説を読むと、自分の時はどうだっただろうか、と自己を反映しながらよむことになるかと思います。 そして自分もそんなふうに思い返して…

辛酸

足尾銅山鉱毒事件で奔走した田中正造の半生を描いた小説です。 この小説を読むと、田中正造は決して幸せに死んでいった訳ではないことがわかります。 むしろ、本書のタイトルである「辛酸」を舐めて死んでいったといっても過言ではありません。 公害と戦い続…

暗幕のゲルニカ

ピカソのゲルニカという作品を聞いたことがある人は多いと思います。しかし、そこに込められたメッセージや制作の背景や歴史について知っている人はどれだけいるでしょうか。本書では作品の制作を克明に記録しようと試みたピカソの愛人の視点から描かれます…

平気でうそをつく人たち

邪悪とは何か。 邪悪と罪悪を区別する必要がある。 邪悪性とは、その人の罪悪を認めることを拒否することである。 つまり、罪悪感を持つことは悪いことではなく、罪悪感を持つことから目を背けようと(無意識に)する人のことを邪悪な人、という。 これは、…

弱気の虫(松本清張)

読みました。 本省に勤める課長補佐が主人公。 麻雀に溺れ、借金を重ねていく中である殺人事件が起きる、という話。 その心理描写が面白いと思いました。 物事を決めるとき、見栄や、周りの雰囲気など、自分の単純な意思だけでないものに影響されて決定する…

華岡青洲の妻

読みました。 嫁、姑という永遠とも言える争いを、江戸時代、華岡青洲という稀代の外科医師の家系の特異さととともに描く意欲作です。一見、つまらなくなるような題材かと思いきや、その時代背景や家庭の特殊さが相まって、読み応えのある物語でした。 単な…

何とかならない時代の幸福論

読みました。 タイトルに惹かれて読みました。しかし、本書の中にわかりやすい回答は示されていません。けれど、読む人が自分なりにどう突破口を見つけるか、そのヒントが隠されているように思いました。 世間に生きている 多くの日本人は、「社会」に生きず…

岡潔対談集 (朝日文庫)

読みました。 数学者岡潔と司馬遼太郎、井上靖、時実利彦、山本健吉との対談。 わかるとは、 ・形式的にわかる。 ・知的理解をする。 ・意義をわかる=全体における個の位置がわかる。 の段階がある。 そして、「情緒」が認識の根底である。 未来に直面する…

とっておき作品集

読みました。 佐野洋子さんの名前を聞いたことがないひとがいるかもしれません。けれど、彼女の作品の一つである「百万回生きた猫」を読んだことのない人はあまりいないのではないでしょうか。それくらい実は有名な作家である佐野洋子さん。 彼女は童話の作…

非色 有吉佐和子

読みました。 人を分つものは何か。非色(色に非ず)。それが 本書のテーマです。 時代は戦後。 笑子は、日本にいるアメリカ軍人トムと国際結婚する。トムはニグロ(黒人)であり、トムの帰国ののち、笑子も渡米する。そこで見る黒人世界は想像を絶するもの…

迷走生活の方法 福岡伸一

読みました。 動的平衡がモットーの福岡先生です。世の中のさまざまな出来事を生命的な観点から示唆を与えてくれます。 例えば、規範や制度については、これらを生命のありように当てはめるのは誤りと言っています。つまり、生命のありようを相対化したのが…

断弦 有吉佐和子

読みました。 有吉佐和子のデビュー作とのことです。この重厚な文章を二十歳を少し過ぎた頃に書いたということが驚きです。落ち着いた文体としっかりとした調査・取材に基づく文章です。そして、本書のキーとなる「音」を言葉で表現するという難題に挑み、そ…

新恋愛講座 三島由紀夫

読みました。 硬い文章がイメージに浮かびやすい三島由紀夫ですが、読みやすい大衆向けの作品も多く手掛けています。ただし、とっつきやすいジャンルの本であっても、やはり三島由紀夫らしい信念が貫かれていて、この嘘をつかない性格が多くの人の興味を惹く…